妊婦健診前の検査
妊娠部位の確認(妊娠週数:5-6週)
月経の予定日を過ぎても月経が来ない場合には、市販の妊娠検査薬を使用して、妊娠しているか確認してみましょう。
陽性反応が出た場合には、ぜひ受診してください。
もちろん当クリニックで確認することも可能です。
受診する時期は、月経の予定日から1-2週間ほど経過した頃を、お勧めします。
この時期になると(妊娠5−6週)、赤ちゃんが入っている袋(胎のう)が超音波で見えてきますので、それがどこにあるのか確認します。
子宮の中に認める場合は正常な妊娠ですが、認めない場合は異所性妊娠と呼ばれる異常な妊娠である可能性があるため、精密検査を要します。
また、胎盤が完成するまでの間に赤ちゃんの栄養タンクとなる袋(卵黄のう)の個数を確認することで、何人の赤ちゃんがいるのか確認します。
さらに、子宮筋腫や卵巣のう腫など、妊娠を継続する上で問題となる異常が子宮と卵巣に存在するのか、詳細に確認します。
*産科診察は基本的に自費診療となります。初診では6,000円ほどかかりますので、ご了承ください。
胎児心拍の確認(妊娠週数:7-8週前半)
超音波で胎のうを確認したのち、2週間ほどで赤ちゃんの心臓の拍動(胎児心拍)を確認できるようになります。
胎児心拍が見えない状態での流産率は一般的に約15-18%前後(8人に1人程度)とされていますが、
胎児心拍が見えた後での流産率は約2−3%と大幅に低下するため、今後開始される妊婦健診に一定の目途がつき、安心できる状態になります。
さらに、頻脈や徐脈などの心拍数の異常や、2段脈や心ブロックなどの不整脈がないか確認します。
この様な胎児心拍の異常を認めた場合、胎児水腫や胎児奇形など赤ちゃん側に異常が存在したり、
シェーグレン症候群などお母さん側に異常が存在したりする場合があるため、精密検査を要します。
分娩予定日の決定(妊娠週数:8週後半-10週)
心拍の確認からさらに2週間ほどすると、赤ちゃんの体全体がハッキリと識別できるようになるため、
この時期に妊娠週数とともに分娩予定日を決定します。
日本産科婦人科学会から発刊されている産婦人科診療ガイドライン(産科編)において、2017年までは、
生殖補助医療による胚移植日か特定できる排卵日、または、最終月経日から計算された妊娠週数と超音波測定による赤ちゃんの大きさから計算された妊娠週数を比較することで、分娩予定日を決定することになっていました。
しかし、先日発表された2020年版ガイドラインでは、近年のめざましい超音波機器の進歩により、基本的には、
妊娠8週から10週までの間に測定された赤ちゃんの大きさから妊娠週数を決定するとともに、分娩予定日も決定することに変わりました。
また、1度ではなく、複数回の測定をもとに決定することとなりました。
分娩先の施設を決めましょう
当クリニックでは、妊娠33−34週まで妊婦健診を行いますが、現在のところ分娩は行っていないため、分娩予定日が決まったら分娩先施設を探し始めることをお勧めします。
近年、日本では分娩可能な施設が減少しており、分娩予約がすぐに一杯になってしまうこともあるため、妊娠12週までには分娩先施設を決めた方が良いと思われます。
また、分娩の予約をするために分娩施設を受診する際には、紹介状が必要となる場合もあります。
受診される前に当クリニックで紹介状を作成してお渡ししますので、施設名も含めて事前にお申し出ください。
当日に作成してお渡しすることは難しいため、紹介状の希望をお申し出になる場合には、1週間前までに必要な旨をお申し出ください。