出生前検査について
出生前検査とは、生まれる前の赤ちゃんに関する全ての検査が含まれます。
胎児超音波検査
胎児超音波検査は、赤ちゃんの体の内部と外部に形態的な異常がないか、超音波機器を使って詳しく調べます。
妊娠中に3回程度行われることが多く、でそれぞれ行います。
- 妊娠初期(妊娠11週~13週)
- 妊娠中期(妊娠20週~22週)
- 妊娠後期(妊娠29~31週)
稀ですが赤ちゃんにとって重篤な病気が見つかる場合もあり、出産前に行うことで、産まれてきた赤ちゃんに対して
直ちに必要な処置を施すことが可能となるため、極めて重要な検査です。
胎児染色体検査
一方、胎児染色体検査は、赤ちゃんが染色体疾患を持つ可能性があるかを
調べる検査です。
染色体とは、長いらせん構造をしたDNAが凝集したものであり、
全ての細胞の中にある「核」に存在します(図1)。
DNAの中には、遺伝情報をもつ様々な遺伝子が決まった領域に存在しており、
この遺伝情報をもとに人間の体は作られたりコントロールされたりしています。
百科事典をイメージしていただくと、それぞれの細胞の「核」に
人間の設計図である百科事典「染色体」が入っていて、
その百科事典の「章」が遺伝子、「文字」がDNA、と考えていただくと分かり易いと思います(図2)。
「非確定的検査」と「確定的検査」
非確定的検査
非確定的検査には、NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing:非侵襲性出生前遺伝学的検査)や
クアトロテスト(母体血清マーカー検査)などがあります。
確定検査
一方、確定的検査には、胎盤の細胞を調べる絨毛検査と、羊水中に含まれる赤ちゃんの細胞を調べる羊水検査があります。
非確定的検査は、採血によって得たお母さんの血液を用いて染色体異常の「確率」を調べることができます。
流産のリスクはありませんが、確率が分かるだけで確定診断ではないため、その結果が偽陽性(=異常が無いのに有ると診断)
または偽陰性(=異常が有るのに無いと判定)である可能性があります。
反対に、確定的検査は、細胞から染色体を取り出して直接調べるため、染色体異常の「有無」に関して確定診断を得ることができます。
しかし、わずかに流産のリスクを伴います。
当クリニックでは、非確定的検査としてNIPTとクアトロテストをクリニック内で、
確定的検査として羊水検査を認定提携施設で、それぞれ提供しております。
しかし、赤ちゃんの体に明らかな異常がある場合の染色体検査に関しては、確定的検査である羊水検査が検討されるべきであると考えております。
遺伝カウンセリングの実施
当クリニックでは、非確定的検査の実施前に遺伝カウンセリングを行い、その内容に関する説明のほか、あらゆる疑問点にお答えいたします。
また、実施後にも遺伝カウンセリングを行い、その結果の如何に関わらず内容を詳しくご説明いたします。
「陽性」との診断を受けた場合には、確定的検査である羊水検査に対して今後の手順や支援に関する説明を受けていただき、
ご質問いただくことも可能です。
羊水検査をご希望の場合は、当クリニックの認定提携施設に紹介させていただき、妊娠15週以降に検査を受けていただくことが可能です。