13トリソミー、18トリソミー、
21トリソミーについて
トリソミーとは?
染色体が3本ある状態を「トリソミー」と呼びます。
染色体は大きく分けて常染色体と性染色体の2種類があり、常染色体は体の構造や機能に関する遺伝情報が格納されています。
性染色体は近年、様々な遺伝情報に関する報告が成されていますが、主に男性か女性かを決定する遺伝情報が格納されています。
トリソミーと病気の関係
常染色体は大きい順に1から22まで番号がつけられていて、
- 13番が3本あると「13トリソミー」(パトウ症候群)
- 18番が3本あると「18トリソミー」(エドワード症候群)
- 21番が3本あると「21トリソミー」(ダウン症候群)
とされています。染色体の番号が小さいほど、障害も重度になることが多くなります。
常染色体の完全なトリソミーは13番、18番、21番の3種類の染色体以外では、ごくまれにしか生じません(15番、22番など)。
13トリソミー
13番の染色体が3本あることにより生じる重度の先天性障害です。
口唇裂、口蓋裂、無眼球、小眼球など多くの奇形および重度の知的障害が発生し、患児の大部分(80%)は症状が重いために
生後1カ月を前に死亡し、1年以上生存できる赤ちゃんは10%未満とされています。
18トリソミー
18番の染色体が3本あることにより生じます。
21トリソミーに次いで多い染色体の数の異常で、5000人に1人の頻度で発生します。
多くの場合、主に心臓の形に変化が見られ、赤ちゃんがお腹にいる時期から目立った発達の遅れがあります。
知的発達の障害は重度とされます。
さらに、合併する心臓や腎臓や中枢神経系の奇形が重篤なため重度の発達遅延を伴い、1歳までにその90%が死亡してしまいます。
18トリソミーは女子が多く、出生時に頭蓋変形や独特の手指の屈曲など、特異的な外形奇形も認めます。
予後は流産死の頻度が高く、また出生しても生後2ヶ月までに50%が死亡し、生後1年での生存率は13.3%にとどまります。
21トリソミー
新生児で最もよくみられるトリソミーは21トリソミーです。
ダウン症候群の90%から96%が標準型21トリソミーと呼ばれるタイプで、精子や卵子の形成過程で染色体の不分離が生じ、
21番の染色体が1本過剰な状態になっているものとされています。
転座型
残りの数%が21番染色体の一部が折れて他の染色体に付着した転座型で、転座型の半分(全体の2%くらい)は親が転座型染色体保因者である
遺伝性転座です。
転座型は親の片方が均衡型転座保因者である場合もあり、適切な遺伝カウンセリングを受けることが望まれます。
モザイク型
1~2%に、個体の中に正常核型の細胞と21トリソミーの細胞とが混在するモザイク型が存在します。
モザイク型は、受精卵の分裂の過程で生じる不分離に由来すると考えられ、細胞の一部は正常、一部はトリソミーというように混在しています。
そのため、あまり重度の障害のない場合が多いとされています。
ダウン症候群の子供の大半は、死亡することなく成人にいたります。
軽度から中等度の精神遅滞を伴うダウン症候群の子供の平均余命は55歳で、明らかな精神遅滞を伴う子供の場合は45歳です。
精神発達遅滞の程度は様々であり、大学教育を受ける者や音楽家として活動する者もいます。
合併症の治療は可能であり、合併症を早期に見つけ、適切な治療を行うことが重要です。
心臓の異常はしばしば薬剤や手術で治療できます。ダウン症候群の子供の死因の多くは、心臓の病気と白血病です。
家族の積極的な関わりや、医療・療育・教育などの専門家によるサポートで、社会で活躍するダウン症候群の方々は増え続けております。