緊急避妊(アフターピル)
緊急避妊とは、避妊をしなかった場合や、避妊はしたけれども失敗してしまった場合に、望まない妊娠を回避する方法のことです。
一般的には下記のような場合が該当し、緊急避妊薬を内服する方法が行われます。
- 避妊をしないで性交渉をしてしまった場合(腟外射精は避妊には該当しません)
- 性交渉中にコンドームが外れた・漏れた・破けたなどのアクシデントが発生した場合
- アクシデントは発生していないが不安な場合
- 性的被害を受けた場合
アフターピルの受け取り方
外来予約を取ってから来院してください。保険証などの身分証は必要ありません。
内服方法や注意点だけの説明を行ってから処方するため、内診などの診察もありません。学生の方は、当クリニックでは学割が適応されるので、学生証を持参してください。
アフターピルの内容
アフターピルは、高い避妊効果のある黄体ホルモンを含んだ合成ホルモン製剤です。
当クリニックでは3種類のアフターピルを扱っています。
高い避妊効果を有するアフターピルですが、わずかながら妊娠する可能性があるため、アフターピルを飲んだ後に妊娠検査薬で陽性が出た場合には、妊娠確認の超音波検査を無料で行います。
また、超音波検査で妊娠が確認されたときには、妊娠後の患者様の負担を考慮して、アフターピルの料金を返金しております。
種類 | 料金(一般) | 料金(学生) |
---|---|---|
レボノルゲストレル | 9,800円 | 8,800円 |
ヤッペ法 | 4,800円 | 3,800円 |
レボノルゲストレルは、プラノバールを用いる従来の避妊法(ヤッペ法)と比較して、最も出現の確率が高い吐き気や嘔吐などの副作用が少なく、さらに1度の内服で終了することから、簡便で効果と安全にも優れた方法であると言えます。
方、プラノバールはレボノルゲストレルよりも安価ですが、避妊の効果と副作用の出現ではやや劣ります。どちらも妊娠を回避したい場合に、性交渉から72時間(3日)以内に内服することを原則としています。
どのアフターピルも妊娠を100%防げるものではなく、可能な限り早く服用することで妊娠を回避する確率が高まり、性交渉からの時間が経過するほどその効果は減弱していきます。
よって、内服後も月経が遅れる場合には妊娠の可能性があり、産婦人科を受診する必要があります。内服を希望される場合には、早めに受診することをお勧めします。
内服方法
レボノルゲストレル | 1回のみ1錠内服 |
---|---|
プラノバール | 1回に2錠ずつ内服(12時間おきに1錠ずつ2回内服) |
アフターピルが作用する仕組みと副作用
アフターピルを内服すると、排卵後と同じ体内環境が作り出され、卵子の発育や排卵が抑制されたり、受精卵の子宮への着床が妨げられたり、子宮内への精子の侵入が阻止されたりして、妊娠が防止されると考えられています。
副作用に関しては、確率は低いですが、以下のような症状が報告されています。
- 不正出血
- 頭痛
- 眠い
- だるい
- 吐き気
- 嘔吐 など
アフターピルの避妊効果
妊娠阻止率は、プラノバールで約80%、レボノルゲストレルで約85%とされています。
しかし、いずれのアフターピルも妊娠を完全に阻止する訳ではないので、内服後に月経が生じるまで妊娠を回避できたか分からず、内服から1ヶ月半が経過しても月経が来ない場合には、妊娠していないか確認する必要があります。
さらに、避妊に成功していればアフターピルの内服後から3週間以内に月経が来ますが、月経と思っていた出血が妊娠期間中の着床出血や不正出血の可能性もあるため、出血が生じても性交渉から3週間が経過したら、必ず市販の妊娠検査薬で妊娠していないことを確認することをお勧めします。
一方、日頃から避妊用に低用量ピル内服していた方は、妊娠阻止率が99%以上になります。
よって、低用量ピルは飲み忘れなければ限りなく妊娠の可能性が低くなるため、妊娠を望まない方は、継続的に低用量ピルを内服することを強くお勧めします。
また、アフターピルはあくまでも緊急の際に用いるものであり、内服後の性交渉には避妊の効果がありません。
さらに、アフターピルの内服によって排卵が遅れることもあるので、内服後は月経が来るまで性交渉を持たないことをお勧めします。
内服後も性交渉を持つ場合には、アフターピルを内服した翌日から低用量ピルの内服を開始して、その後はピルの内服を継続することをお勧めします。
アフターピルの安全性
全世界で半世紀近く使用されており、既に安全性は確立されています。さらに、授乳中に使用しても安全とされています。
しかし、妊娠している方や、肝臓の機能が低下している方は服用できず、心臓や腎臓の病気をお持ちの方は、病気が悪化する可能性があるため、慎重に使用する必要があります。
万が一、アフターピルを使用して妊娠を回避できなかったとしても、赤ちゃんに異常をきたしたり、異常妊娠が増えたりすることは、これまで報告されていません。
アフターピルは、あくまでも緊急で用いる薬剤であり、その妊娠阻止率は決して高くありません。
よって、
1) パートナーがいても今は妊娠を希望しない場合には、低用量ピルを内服したり、
2) 出産経験がある方で今後の妊娠を希望しない場合には、子宮内留置型の合成黄体ホルモン製剤(ミレーナ)を使用したりするなど、
より妊娠阻止率の高い方法をお勧めします。